大間の「海の日」に行われる珍しい神事「天妃様行列」。爆竹や銅鑼の音の中、神輿で登場する海の女神・天妃様(媽祖様)は、1996年、台湾の媽祖信仰の総本山である北港朝天宮から大間稲荷神社に分霊されたもの。ふるさとである北港朝天宮に里帰り巡礼(北港進香と言います)することが、両宮の絆の証明となるのです。
そして2024年3月16日。大間の天妃様は、28年目にして初めての里帰りを果たしました!天妃様とともに大間を出発した交流団は9名。それは国境を越えた2800キロの旅でした。
(写真提供:北港朝天宮)
旅の始まりは、大間港フェリーふ頭。ここが、大間の海の駅であります。津軽海峡フェリー「大函丸」のカジュアルシートに天妃様をお乗せして、函館まで90分。大漁旗を振った見送りで激励を受けた交流団は、すでに胸いっぱいでした。
今回の里帰りのルートが、これ。函館空港からタイガー航空の直行便で、台湾の桃園国際空港までズバっと飛んでいきました。東京媽祖廟から応援に来てくれた4人と合流して、桃園のホテルからは専用バスで北港へ。土曜日のハイウェイは激混みで、混んでいるから3時間はかかるだろうと見込んでいたら、なんと4時間もかかってしまった~涙
指定の駐車場に到着すると、他の団体のバスが10台以上も停まっているではないですか!台湾国内には3000もの分霊先があるとのことで、だから巡礼団がひっきりなしに訪れているのだと、合点がいきました。北港朝天宮のみなさんが私たちのために、歓迎の行列を準備してくれていて、この駐車場からみんなで参道を行進して宮入です!(写真提供:北港朝天宮)
順風耳と、後ろが千里眼。天妃様を先導してお守りする神様です。なんと、急きょ交流団の若手2人がこの中に入って行進するというサプライズが!思うように体を動かせず、頭の中がまっ白になったそう。汗びっしょびしょになりながら、がんばった2人でした。(写真提供:北港朝天宮)
準備していただいた神輿に、天妃様が乗っています。この神輿が上下にぴょんぴょん動きました!天妃様が喜んでくれている証拠なんだそう。爆竹は、天妃様が通る道を清める意味があるのですが、どうですか、このハンパない爆竹の残骸は!(写真提供:北港朝天宮)
爆竹や銅鑼の音や人間たちのものすごいエネルギーの渦のなか、見事に宮入を果たした天妃様。新しい髪飾りと衣装を与えられ、いっそう美しく艶やかになったその姿に、交流団一同は胸がいっぱいになりました。(写真提供:北港朝天宮)
蔡董事長(写真中央・右から5人目)を始めとする北港朝天宮の役員のみなさまと交流し、記念品を取り交わしました。今年の海の日には大間を訪れてくださるとのこと。天妃様が、台湾と大間のご縁を固く結んでくれました! (写真提供:北港朝天宮)
帰りの桃園国際空港にて。北港朝天宮さんが準備してくれた専用のケースの中で、天妃様のオーラがすごい!「あ、媽祖様だ」という周りの視線が、むしろ誇らしく心地よい~。しかーし、大間稲荷神社に帰り着くまで、気は抜けないのです。
そして3月17日の夕方のフェリーで、無事、大間に帰還。「進喔!(じんごーう!)」と、みんなで叫んでいます。北港朝天宮への宮入の際の掛け声で「さあ、進もう!」という意味なんだそうです。台湾と大間の本格的な交流の扉を、天妃様が開けてくれた!さあ、進もう!進もうー!